きのう、ベルリンにいるマリオという友人から電話があって、「いま何処にいる?」というから、「東京だよ」と答えたら、「ありえないよ! もー、やめてよねー!」と呆れられた。国際電話は高いだろうに、数十分にわたって「はやく遠くに逃げるべきなんだからさ」と忠告を受け続けた(マリオ訛の日本語で)。あと、「こういう時にはコミュニティが大切だから、可能な限り知り合いでまとまって動いたほうがいい」というアドバイスももらった。
「なんで東京を離れないのか?」というマリオの質問には、「まだ多くの友人が残っているし、家族もこっちにいて、東京でもいろいろ出来ることがあるとおもって」みたいなことを、たしか言った。が、実際は、そんなかっこよく聞こえる理由は、気持ちの中の3割くらいなもんで、変化の程度は不明だが、生活も仕事もいままで通りにはいかなくなるという事実を、ただ受け入れられないという、保守的な理由がほとんどのような気がする。もうすでに生活が大きく変わってきたというのに。
それを考えたら、とっさの判断で、必要なものをバッグに詰め込んで、それまでの生活を振り切って、遠くの場所に移動した人たちは、なんと言うか、革命的でたくましく見える。東京に残っている人たちは肝が据わってるみたいな声もあるらしいが、とりあえずそれは自分には当てはまらない。
マリオのしつこーい避難勧告は、途中さすがにうっとおしくも思ったが、でもそれだけ心配してくれていることが、とてもうれしかった。
いま、放射能の被害を受けている、あるいは受けようとしている地域では、「大丈夫」とか「心配することない」とかは、例えば石原慎太郎みたいなクソ野郎には躊躇なく言えても、自分が大切に思う人にはなかなか言えない言葉だ。
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