志賀直輝
▲パレスチナの親友たち
ここ数日、イスラエルのビザを取るためにヨルダンにきていた。わたしのビザがすんなり取得できるためにヘブライ語の話せる私の親友も一緒にきてくれた。そして今日、わたしはパレスチナに戻るためにイスラエルの国境へむかった。国境で逮捕歴など調べられたら、まず入国はできないだろうと思って馬鹿な旅行者を装うこにした。不法労働者に見えないように新しい服を買い、髭も剃った。
イスラエル国境で荷物、PASSPORTチェックを受けた。そして係員から簡単な質問をされた。しかし、相手は入管のプロだけあって、こちらにゆとりを全く与えてくれなかった。ガンガン話をとぎられた。そして、表で待っていろと言われた。数分経って、係員の警官が3名やってきた。そして、こう私に告げた。イスラエル政府はあなたの入国を拒否する。そして10年間入国ができないことを告げられた。
▲悪魔の入国拒否スタンプ
理由を聞くと、いえないとだけ告げられた。イスラエルの国境を通らないと、どうやったってパレスチナにゆくことはできない。
私には、パレスチナに家族同然の仲間や親友がたくさんいる。イスラエル入植者や兵隊から毎日のように攻撃を受け続けるパレスチナ人家族の中で一緒に生活して、なんとかできることをしたいと思っていた。高圧的な兵隊や攻撃的な入植者たちの中で生活しなくてはいけない子どもたちと、とことんふざけあいたかった。彼らにイカサマなボクシングや空手を教えたかった。たまの休日は親友たちと安酒を煽って二日酔いになりたかった。いつまでもふりまわしてくれる恋する人とデートしたかった。私をヘブロン人として扱ってくれる地元の人たちとシモネタをいいあって笑い転げたかった。私にはパレスチナでやりたいことがたくさんあった。
それでも、わたしはいい。私は自分の生まれた土地に帰ることができる。それが何十万人というパレスチナ難民の人たちは死ぬまで故郷に帰ることができない。
いったい、だれに人の動く自由や生まれた場所に帰ることを禁じれるというのか。そこには自分の生まれた土地があり、愛する人たち、家族、友人、恋人がいて、そこに帰ることができない。なにが政治だ。なにが防衛だ。なにが宗教だ。ふざけるのもいい加減にしろ。こんなに悲しいことはない。こんなに悔しいことはない。会いたいのに会えない。
俺はイスラエルには当分入れない。しかし、これは終わりじゃない。まだまだ始まってもいない。こうして肌で覚えた怒りと悲しみは消して消すこともできない。やられたら私なりにやりかえすのが、わたしのアナキズムで。人の動く自由と国境・システムを吹き飛ばす可能性があるのもアナキズムで。いや、アナキズムなんて言葉でかたずけるのも、ナンセンスに過ぎないから。ただただ人間の生にかける。生死でも精子でもかけれるものはかける。
やるしかないですよ。
▲ヨルダンのパレスチナ人難民地区
追記:パレスチナ・ヘブロンについての番組がTBSで来週18日月曜日に放送される予定です。私はこの番組でテルメイダやヘブロン班として手伝いをしてきたので、ぜひとも多くの方が見ることを願っています。しかし、一度も完成したのを見てないのでどうでしょうか。
来週の月曜、18日の夕方(17時半過ぎ)に10分、夜(24時前後)に25分やることになりました。なにぶんオリンピック中なので、日本人の金メダルとかで予期せぬ変更の可能性は少しあるが。
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