ガザ攻撃の確定データ:
パレスチナ人権センター(PCHR)プレスリリース
2009年3月12日
【ガザ攻撃の確定データ:イスラエルの攻撃によるパレスチナ人の死者1434人、うち一般市民960人、警察官239人、武装メンバー235人】
2008年12月27日から2009年1月18日に至るガザ攻撃は、おびただしい数の死傷者と、ガザ地区全域の大々的な破壊をもたらした。この大惨事の正確な状況は、今ようやく明らかになりつつあるところである。
今回の攻撃は「継続する国家間交戦および武力による占領」という状況下で起こった。国際人道法では、戦闘行為を規制する様々な義務(法的な拘束力を持つ)が厳密に規定されているが、中でも最も重要なのは「弁別の原則」で、ここでは、すべての交戦当事者に、戦闘員と非戦闘員(一般市民を含む)を明確に区別する義務が課せられている。一般市民および民間・文民部門の所有物には、いかなる戦闘行為の影響も極力及ばないようにしなければならない。これが国際人道法の根幹である。この基本的な義務条項のもとで、攻撃に使用される手段・方法も規制される。簡単にまとめると、「100パーセント軍事的な必要性に基づく攻撃」の範囲を超える場合には、いかなる破壊・損傷も最小限に抑えるよう、あらゆる予防措置を講じなければならない。
パレスチナ人権センター(PCHR)の調査の結果、今回のガザ攻撃において、イスラエル占領軍が終始、過剰な無差別攻撃を行なったこと、「弁別の原則」を徹底的に侵犯したことが明らかになった。レジスタンスの武装メンバーに比べて一般市民の死者が圧倒的に多いという事実が、その明白な証左である。イスラエル占領軍はまた、法執行者(警察官)を戦闘員とするという違法な区別を行ない、「弁別の原則」を故意に侵犯した。法執行機関の制服着用者は、100パーセントの確度で戦闘員と認められるという場合だけを例外として、武装部隊のメンバー(戦闘員)とは見なされない。
ガザ地区に対する22日間にわたる攻撃で殺害されたパレスチナ人は1434人にのぼる。そのうち戦闘員は235人だが、大多数の死者は一般市民・非戦闘員、すなわち、国際人道法の原則では「保護されるべき」人々である。PCHRの調査により、960人の一般市民が命を失い、そのうち288人が未成年者、121人が女性だったことが確認された。警察官もまた239人殺された。そのほとんど(235人)は攻撃初日の空爆による死者だった。また、保健省が確認したところでは、この間の攻撃によるパレスチナ人の負傷者は5303人で、うち1606人が未成年者、828人が女性である。
この圧倒的多数の一般市民の死者とイスラエルの戦闘行為──特に、無差別攻撃、意図的な殺戮、広範囲にわたる建造物の破壊、標的選択、攻撃の際に講じるべき予防措置の欠如、過剰な武力行使、一般市民の居住区域での使用が禁じられている白リン弾などの違法な武器使用──に対しては、実効性のある法的措置(補償)が要求される。PCHRが記録した多くの事例がジュネーヴ条約の重大な侵犯であり、戦争犯罪である。さらに、ガザ地区のいたるところで、慣習的な人道法をシステマティックに侵犯する行為も数多く目撃されている。これもまた、人道に反する犯罪に相当すると考えられる。
PCHRは、すべての国に対し、第4ジュネーヴ条約第146項に記された法的義務──ジュネーヴ条約に対する重大な侵犯行為を行なったと考えられる者を訴追する義務──を果たすことを求める。すべての国は、普遍的な司法の原則に従って、こうした犯罪者をそれぞれの国の裁判所で裁けるようにする適切な法を持たなければならない。
さらに、ガザ地区の一般住民が生活の再建と破壊からの回復に取りかかるには、ボーダーが開かれ、支援物資・再建資材のガザへの搬入が認められることが絶対の要件である。占領国家であるイスラエルには、第4ジュネーヴ条約に規定された法的な義務があり、それに従って、制限のない人道物資・人員のアクセスを許可しなければならない。さらに、被占領地の資源・資材が充分でない場合(現在のガザ地区がそうである)、第4ジュネーヴ条約第55項は、占領者側(イスラエル)が、一般住民の安全と安定した生活を確立するのに必要な物資を提供しなければならないという特別の義務を定めている。
PCHRは、ガザ攻撃の間のイスラエル軍の行動を強く非難するとともに、以下のことを求める。
1. パレスチナの一般市民に対してなされたイスラエル軍の犯罪およびイスラエルの戦闘行為に対し、国際調査機関を組織し、内実のある調査を実施すること。
2. パレスチナの一般市民に対する戦争犯罪の実行責任者である政治家・軍幹部の全員を訴追すること。
3. ガザ地区の住民に加えられているあらゆる形の集団懲罰を終わらせること。これには、封鎖の解除、人間と物資の自由かつ安全な移動の実現も含まれる。
4. イスラエルに対して:占領者としての義務を果たし、制限のない人道支援物資・人員のアクセスを可能にすること、一般住民の安全と安定した生活を確立するのに必要な物資を提供すること。
5. 国際社会に対して:こうした犯罪が看過されつづけることのないよう、即座に介入すること。ジュネーヴ条約の締約国に対して:条約第1項下での義務を果たし、あらゆる局面で条約が遵守されるのを確実にするとともに、第146項下での義務を果たし、重大な条約違反を犯している責任者の調査・訴追を行なうこと。
付記:PCHRは、今回のガザ攻撃で殺されたパレスチナ人全員の完全なリスト(アラビア語および英語)を、近々当サイトで公表する。
※訳者付記:アラビア語版リストは3月19日付で掲載されました(PDFファイル)。
http://www.pchrgaza.org/files/PressR/arabic/2008/list.pdf
・・・
原文:
http://www.pchrgaza.org/files/PressR/English/2008/36-2009.html
パレスチナ人権センター(PCHR):
http://www.pchrgaza.org/
翻訳:山田和子
※この翻訳は以下に掲載されています。
http://palestine-heiwa.org/news/200903210045.htm
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