志賀直輝
最近、ヘブロン周辺ではイスラエル兵によるパレスチナ人への管理・監視が激しくなっています。パレスチナ人地区にある無数のイスラエル兵の検問所(CHECK・POINT)では検査を受けるパレスチナ人の列ができたり、長時間無意味に拘束されたり、検問所を封鎖して交通できなくさせています。兵隊はときに罵声をあげ少しでも抗議したら壁に押し付け全身検査されます。また妊婦や年寄り、子どもでも容赦なく検査されます。
また、同時にイスラエル入植者も急激に活発化しています。ヘブロン(パレスチナ)の街の中心部には大小合わせてイスラエルの入植地が5ヶ所あります。今、入植者の若者がパレスチナ人の土地でテントを張って、この近くの道路をパレスチナ人が通るとき、襲撃や投石したりしています。
▲パレスチナ人の土地の違法で張る入植者テント
昨日、入植者がパレスチナの若者を襲撃しようとしていたので、わたしたちのグループが止めに入ろうとしたら、覆面した入植者や若者たちが殴りかかってきました。さらに投石されわたしの仲間の手に当たりました。また小学生ぐらいの入植者がペッパースプレーなども撒いてきました。しかし、このとき、逆風に煽られてスプレーは入植者たちにもふりかかっていました。これには笑いました。でも、もちろん仲間の目はやられました。さらに、仲間のカメラも壊されました。
覆面した入植者たちに「お前はナチスだ」と何百回も繰り返しいわれました。だからその都度「俺は反ナチだ、ナチと闘ってるANTIFAだ」って何度もいいました。それでも「お前はナチだ、殺してやる」といい返してきました。あまりにひつこいし、いい加減頭にきたので「お前がナチ」だと言い返してやると、この入植者は憤激してもっと殴りかかってきました。
▲パレスチナ人地区を徘徊する覆面イスラエル入植者
本当はぼこぼこに殴り返したいのですが、まわりには兵隊や警察がいてもしもこちらが手を出すと即逮捕されるのでなにもできません。それにわたしの団体が非暴力っていうのもあってただ殴られるだけです。まわりにいる兵隊はいつもただ、入植者を見守るばかりです。
これはパレスチナ人の場合だともっとひどいです。入植者に手を出さなくてもイスラエル兵に逮捕される場合が多いです。パレスチナ人には入植者に対してなにもできません。
また、南ヘブロンのスシヤという羊飼いの村では、毎日兵隊や入植者が羊飼いを妨害してきます。羊飼いは毎日、羊が餌を食べるため遊牧しないといけません。そこに兵隊や入植者がきて、パレスチナの土地にもかかわらず「ここはイスラエルの土地だ、ここから出てゆけ」といいます。そして翌日、前日いった境界線をさらに越えて「ここはイスラエルの土地だ、ここから出てゆけ」といいます。こうやって少しづつパレスチナの土地を奪ってゆきます。今週、ただ羊を遊牧させていたパレスチナ人が何もしていないのに逮捕されました。
攻撃的な入植者はいつもいいます。「ここは神が我々に与えてくれた土地だ。4000年前から住んでいる。アラブ(パレスチナ人)にただ貸してやっていただけだ。平和に暮らしたい。パレスチナ人はどこか他の国へゆけばいい。」
しかし、アラブ人は何百年、何千年もこの地に住み続けています。この事実をアラブ人を追い出そうしている入植者たちは聞く耳をもちません。
もちろん、イスラエルの中にはこういった入植者に疑問を持つ人が多いです。もちろん入植者を守る兵隊の中にも多いです。それでも社会の構造がこういった入植者たちを支える仕組みになっているため、なかなか打ち砕くことができません。
今はたしか2008年だったと思います。人間は少しは進歩したのかと思っていました。そして、世界各地で行われたかつての虐殺や「人権」まがいの行為は昔の話だとおもっていました。しかし、いまだ、現在進行形でこの「人権」を無視した行為が行われています。「人権」なんて言葉は嘘臭くて好きじゃありません。それでも本当にここパレスチナには「人権」がまったくありません。きれいごとも現実もすべてひっくるめて「人権」がない。
一体、わたしたちは今までなにをして、なにを見てきたのでしょうか?どうしてもわたしにはなにもわかりません。そして、その構造の一部がわたしでもあるという、なんともいてもたってもいられません。
DO OR DEAD
▲警察・兵隊に抗議するISM
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