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身体、精神、欲望に深刻な影響を与える強いメディアの言説を弱める個人の力が、エレクトロニクス技術の進展と共に増大していることは確かなようだ。与えられた情報を一方向的に受け入れるのではなく、一次情報に直接アクセスし、多くの人々の議論と精査を通過させ、その集合知を自分たちのメディアで公開する。 今年、国内外のアートシーンで公共圏の問題がクローズアップされたのも、この集合知の生成における社会構造の変化に敏感に応答した結果と言える。しかし、そこで議論されたのは、芸術を、社会的であるとか、政治的であるとかいった領域に囲い込むことであり、芸術の可塑性と公共性が結合する核心ゾーンである「公開性」の問題にまで美学的議論が発展することはなかった。 ハイパーローカルな生活世界、都市空間、雑多な現実の領域から生まれでる人間の一回性の意識を記録し痕跡を外在化したいという芸術の繰り返される暴力性。そこに生きる人々はデータベースを求めていない。「起源」を彫刻しようとするアーカイブの欲望は、根源的に悪である。
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