
▲H2地区の水道工事
パレスチナの西岸地区の南部にヘブロンという街がある。ここヘブロンには、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の祖であるアブラハムの墓がある。この墓を中心にモスクとシナゴーク(ユダヤ教徒の教会)が半分づつに分かれている。
ユダヤ教徒にとっても重要な土地・ヘブロンに1967年からイスラエル入植者が入植を始める。もちろん、この土地には元々長いことパレスチナ人(アラブ 人)が住んでいた(イスラエル建国以前はこの地のユダヤ教徒のコミュニティーとイスラム教徒は共存していた)。入植者に土地を追われたパレスチナ人は難民 となった。そして1971年には巨大な入植地キリヤットアルバが作られる。
2007年の段階ではヘブロン地区の入植地は17箇所を越え、 12000人のイスラエル入植者が住んでいる。そのためパレスチナ人と入植者の問題が後を絶えない。近年は、パレスチナ人民家とイスラエル入植者の近隣 で、入植者によるパレスチナ人への襲撃、投石、嫌がらせなどが毎日のように続いている。怪我人から精神的に不安に陥るパレスチナ人も多い。

▲キリヤットアルバの横のパレスチナ人民家、屋上に入植者が集まり飛び跳ねて天井が壊れる。
このイスラエル入植地の周辺はH2地区とされイスラエル軍の管轄になりパレスチナの行政権は一切ない。そのためH2地区のひとつであるヘブロンのテルメイ ダ(Tel Rumeida)では今年2008年5月中旬から6月中旬の一ヶ月間、パレスチナ人の水道管の修理の許可が下りないため水道が一切使えない状態がつづい た。猛暑が続く中、生命線である水道が使えないのは非情なプレッシャーともいえる。

▲水道工事をするパレスチナ人とその前の検問所のイスラエル兵
またH2地区ではないパレスチナ行政地区のヘブロンの孤児院に同年3月と4月にイスラエル兵が押し入っている。孤児院の職業支援として活用していたミシン や衣類など様々な物品がイスラエル兵によって押収された。現在、建物の一部は使用禁止命令が出されている。さらにこの孤児院関連の団体が運営するパン屋に も同年4月に兵隊は押し入りパンを作る機械などを破壊している。
また近年新たにオープンするはずの孤児院もイスラエル兵によって閉鎖させられている。この孤児院の向かいにある巨大な倉庫も兵隊によって押し入られ倉庫の一部は破壊され、孤児たちに支給されるはずの衣類・靴などが大量に押収された。
この一連の押し入り、押収、破壊、建物の使用禁止の流れの背景には、この孤児院がイスラエルの入植・占領政策に武力抵抗しているハマスからの支援を受けて いるからだとイスラエル軍はいう。しかし、実際この孤児院は周辺のアラブ国、ヨーロッパ諸国の支援から運営されている。この孤児院の職員の話では、まった くハマスともファタとも連絡なんかとっていないという話だ。

▲イスラエル兵に破壊されたパン製造機
パレスチナの義務教育や医療は無料だ。誰でも受けられる社会制度になっている。イスラエル軍の言い分がどうであれ、パレスチナ人の教育機関を潰す権利などない。教育は自由であり人間を育てる重要な場所だ。誰にもそれを妨害することなどできない。

▲イスラエル兵に壊された壁

▲オープンするはずの孤児院だが、閉鎖状態にある

▲押収されてなにもないパン工場

▲孤児へ支給されるはずの衣類や靴などの倉庫 しかしこちらも押収されて空状態
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