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「ウィーン・アンダーグラウンド pt.2」
by waterr (withyoureyedea(at)hotmail.com)
前回紹介したTotal Chaos(このBLOGの8/22のエントリー参照)のDJ DBH関係で面白いニュースが!
現在、オーストリアは選挙戦のまっただなか。で、オーストリアには「オーストリア自由党」という愛国主義のポピュリズム党がある。そこのボスがシュトラッヘというひとで、このひとの選挙ポスターは本当に最悪。メッセージが、マジですごい。
「ウィーンはイスラマバードにはならない」(トルコ移民攻撃)、「イスラムではなく、故郷を!」(イスラム移民攻撃)、「ドイツ語さっぱりではなく、ドイツ語!」、「何百万の移民の代わりに、たしかな老後生活!」、「ケチで残酷の代わりに、福祉!」、「愛国者。私は君たちのために」(移民総攻撃)・・・
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普通ならば、「こんなことやって、バカじゃないか」と白けて終わりそうなところですが、そうじゃない。リベラル系有力紙「Der Standerd」とオーストリアHIPHOP最大のWEBSITE「hiphop.at」が共催で、この男シュトラッヘを「DISS」するコンテストをただちに開催。22日にファイナル。
「DISS」というのは、HIPHOPカルチャーのキーワードで、ラッパーが他のラッパーをライムで攻撃すること。ラップは、ロックなどと違って一方通行の自己表現ではなく、コール&リスポンスが基本にあるため、「ラップする」ということは互いにスキルを磨きあうラッパーのバトル空間にコミットするということであり、ほかのラッパーにDISSされる可能性を引き受けるということなわけですね。だから、いくら選挙戦のポーズとはいえ、シュトラッヘが下手なラップをしたからには、これを攻撃するということ。メッセージは、「ヒップホップを取りかえそう。ラッパー・アクティビスト集れ!」
Total ChaosのDJ DBHも、ラップ用のビートを提供しています。
Whizz Vienna mit "Beef" [download]
DJ Tapiresque mit "Die Wahlkampfwalze" [download]
DBH mit "Gebt ihm Saures" [download]
flip-o-mat mit "Stop playin" [download]
Toxic mit "So nicht Freundchen" [download]
Selbstlaut mit "Monk" [download]
Chriz Biz mit "Oriental" [download]
Phlow mit "Sonderbar" [download]
Chris Chronic mit "Strache Diss" [download]
それにしても、ウィーンのように移民の多い街に住んでいるとHIPHOPというのはまさに「国」という単位を超えるミーティング・スポットという感じがするのだけど、日本には「愛国HIPHOP」みたいなものがメジャーを斡旋して、キッズに間違った教育効果を与えているようですね。というか、「国」をバックにしてしか「自分」を語れないような情けないやつが、ラッパーを名乗るなどありえないでしょう・・・。国どころか世界全体を敵に回しても自分を信じるような、ふてぶてしさがないなら、ラップなんてやめちまえと思う。というか、誰かあいつらを「DISS」してくれよ!(新潟のI君に期待)
PS: HIPHOP AGAINST RACISM! の手本のようなアルバムがでた!NYのDEFINITIVEJUXからボストンのMr.LIFのニューアルバム「MO’MEGA」。「MOはアメリカの黒人奴隷のスラングを表し、MEGAは僕らの住んでいる超近代化された世界を表す。生活のコストが急激にあがるにつれ、僕らの多くはマイペースでやっていくことの難しさに気がついている。僕は、MOという言葉は、人種を超えて、エリート・レベルの富にたどり着けない大衆のことを述べているという気がする。MO’MEGAは、奴隷とエリートが互いのあいだに共通の基盤をもたずに並存していることだ」、というコンセプトのこのアルバム。ファストフード産業やら、ブッシュ政権、クリントン政権にもさかのぼり、アメリカの病理をあばくMr.Lifのラップに、EL-Pの凶暴なビートがはまりまくり。ゲストもAKROBATIK, BLUEPRINT, MURS, AESOP ROCKと絶好調に反社会的な連中が集いまくり。GO!
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