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「ウィーン・アンダーグラウンド pt.1」
by waterr (withyoureyedea(at)hotmail.com)
ウィーンといえば、ハプスブルク家の栄光、オペラ、ベートーベン、クラシック音楽のメッカ。伝統と権威の街。その一方で、心理学者フロイト、哲学者ウィトゲンシュタイン、現代パフォーマンスのラディカリズムの原点ウィーン・アクショニズム。伝統と権威に逆らう街。
ウィーンのあるオーストリアといえば、国語であるドイツ語の試験をパスしなければ外国人ヴィザの更新を認めないという悪法で話題になった、保守の国。その一方で、ウィーンは移民でごったがえし、学生自治会のスローガンは反戦でも反資本主義でもなく反差別主義という、多国籍な街。
伝統と権威にすがったメイン・ストリームの華やかさの影で、びくともしない安定したアンダーグラウンド・カルチャーの生きる街。
おれは今、そんな街ウィーンに住んでいる。
ところが、面白いことがある。ウィーン(オーストリア)のヒップホップには、メイン・ストリームとアンダーグラウンドという二極化がない。というより、日本にはたくさんいるメイン・ストリームの人気ヒップホップグループというのがない。すべては、ジョイント回すサークルみたいにアンダーグラウンド(これはよくありがちなヒップホップ的表現)。同じことはパンクにも当てはまる。
これにはいくつかの理由が考えられる。ヒップホップで「ストリートから這い上がるぜ」みたいなアメリカンなドリームが、日本ほど受け入れられていない。そのため、ヒップホップ=マネー志向という(個人的な感触では、日本で誤って誇張されている)等式が、キッズを鼓舞しない。メジャーが自国のヒップホップに関心をもっていない。しかし、何よりもヒップホッパーがメジャーに関心をもっていない!自分達のやっていることをよく知っているし、それを愛している。いやあ、かっこいいよ。
オペラにクラシックといった「文化」ならばどこの観光本にも載っている。でも、地下で起こっていることを知るためには、強い関心をもって、実際に動いてみないとわからない。そして、そこにはおれを感動させるに十分な活動があった。その一部を紹介したいと思う。
そして、日本に帰ってから(来年夏)、彼らからの影響を生かして、また、彼らとの可能なコラボレーションを目指して、新しい活動をはじめるために、ここに紹介するようなスタイルにピンと来るひとは、ぜひメールください。そのうち、一緒に動こう。
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"TOTAL CHAOS"
パンクファンにとっては、Total Chaosといえば、Epitaphのcrust販売計画第一段となったPunk&Disorderlyまんまコピーのパンクバンドだろうけど、こっちのTCのほうが百倍センスよくて、かっこいいぜ。
で、ウィーンのTotal Chaos。MC MANUVA, DJ DBHから成る。ウィーン・ヒップホップの第一期から活動するベテラン。DJ DBHは、ウィーン・アンダーグラウンド最重要レーベル・ショップ・ディストロであるGoalgetterのStudio設立者。また、MC MANUVAは、ウィーンのもう一つの重要グループWaxolutionistsのMCでもある。また、他の有名どころではNinja TuneのDJ VADIMなどと交流が深い。
音楽的には、シンプルで実験性の高い硬質なビート、ギミックなし・ストレートフォーワードなライミングで、タイプ的にはDJ VADIMや、LAはLiving LegendsのElusiveやElighを彷佛させる。アティテュード的には、Galapagos4やAnticonのように、アヴァンギャルド的感触と反体制気質がミックスしている。
それらは、彼らの音や写真からわかることでしょう。というわけで、以下が彼らのHP。ただし、Total Chaos自体のHPは古いので、サウンドはDJ DBHのサイトからどうぞ。Enjoy listening!
LINK:
TOTAL CHAOS
DJ DBH
MC MANUVA
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