三本の矢を叩き折れ!
志賀直輝
ご無沙汰しております。前回、西成から永田町へ!という、介護職員らの厚労省交渉を書いて、その後の報告してなかったので、以下、報告します!
前回、介護保険改悪について、書いた。そうこうしていると、最近になって安倍政権は、三本の矢とか言い出して、介護離職者が年間十万人越えるのを防ぎたいという理由から「介護離職ゼロ」と打ち出したらしい。その反面、安倍政権は、介護保険への予算を更に切り下げようとしている。更には、要介護1、2も介護保険から切り離して、2割負担にしようとしている。これは、真逆のことになる。相手を殴りながら「愛しているよ」というDV より、情緒不安定な発言な気がする。本当に、介護離職をなくしたいのなら、まずは、利用者やその家族が、安心して介護保険が使えるようにしないといけない。その為には、介護事業所や介護職員が安定して働けるよう、政府が予算を使わないといけない。(使い勝手の悪いオスプレイをアメリカに返金したら、介護保険をこれ以上切り捨てる必要はないわけだし)
しかし、現状は、今年度の報酬削減により、かつてないほど介護事業所は倒産に追い込まれている。また、今年度、国は、要支援者の介護サービスを市町村事業に移行させたが、市町村事業自体、まだ整備されていない。その市町村は、介護への予算がないことから町内会やボランティアを頼ろうとしたり、介護職員の資格要件や人員配置などを規制緩和したり、安い労働力として外国人労働者やシルバー人材派遣に頼り、家事代行へ乗り出そうとしている。現行の介護事業所も背に腹は代えられないと、単価切り下げられても、使い捨て「市場」に乗り出すだろうし。
そうなると、介護の質はどんどん落ちるし、虐待問題は更に増える。利用者は安心して介護なんて受けられない。高額な介護保険料だけ盗られて、使うときには使えなかったり、使うとさらに金がかかる。介護労働者の労働環境は、シルバー人材派遣や外国人労働者が参入することで賃金はもっと安くなるだろうし、賃金が安ければ人材不足は更に悪化する。こんなんで、「介護離職ゼロ」なんていう寝言は、通用するわけがない。
というわけで、介護職員も社長も組合も、家族も利用者も黙っていてはいけない!詐欺師よりたちの悪い政府や役人どもに、はっきりと「もうたくさんだ!」と立ち上がるしかない!
前回の記事に厚労省交渉を書いたので、以下、その報告文を一部載せます。
『介護事業所や、介護保険を利用する人や家族からは、このままではやっていけないという声が本当に上がっている。
その声をもって、厚労省交渉に臨んだ。参議院議員会館B-107号室。地下の70名部屋で、厚生労働省から24名、参加団体から24名、ケアワーカーズユニオン、港合同、全国一般全国協、全日建連帯、世田谷介助者ユニオン、働く女性の全国センター、女性ユニオン東京、東京全労協など。それに紹介議員の福島みずほさんの事務所から秘書の池田さん、という大人数で交渉がおこなわれた。
しかし、厚労省からの回答は、全く現場の実態を把握しておらず、介護保険切り捨てを前提にした返答ばかりだった。
私たちは、制度だけではなく、介護現場で一体、何が起きているのかを強く訴えた。介護サービスの利用限度を超えてしまい、最低限以下の暮らしをしている高齢者がたくさんいること。そういった利用者に対しては、介護事業所がボランティアで対応していること。職員不足や人員配置が足りないことから、利用者が便まみれになって、ひたすら鳴りつづけるナースコールに対応できないこと。訪問介護のサービス時間に、20分未満が新設され、多忙過ぎて、辞める職員が多いこと。身体介護の負担から流産した女性職員のこと。厚労省の役人は、ただ、それを黙って聞くだけだった。
また、報酬削減についての、厚労省の回答は、「報酬削減による影響はない、報酬削減分は、新設加算や処遇改善加算で対応している。」と答えていた。しかし、実情は、新設加算は条件が厳しくとれない。要支援切りについては、「要支援者に対して、地域やボランティアが対応していく。」と回答していた。
しかし、一定の成果もあった。自治体によっては、障がい者総合支援法のサービスを利用している人たちが65歳になった途端に、本人の希望を無視して介護保険に強引に移行されるケースが後を絶たない。それに対して、厚労省は、「一律に介護保険が優先されるべきではない。」「個々の障がい者の状況に応じたサービスが提供されることが必要。」と回答した。今後、障がい者総合支援法から介護保険へ移行させようとする自治体に対して、厚生労働省の回答をしっかり伝えることができるし、今後の自治体交渉でも使える。
厚労省交渉は、まだ始まったばかりだ。今後とも、文章による継続的に交渉を行い、何度でも厚労省に乗り込みたいと思っている。』
それから、11月2日に、ケアワーカーズユニオンが参加する、「安心できる介護を!懇談会」と、大阪市福祉局と意見交換会を行った。意見としては、要支援者が介護保険から切り離されても、今までと同じような介護サービスが受けられるようにしてほしい。今でも介護事業所は潰れているのにこれ以上、単価を下げないで欲しい。利用者さんの様態変化をいち早く気がつけるのは、資格や経験をもつ介護職員だからであって、資格用件を緩和しないで欲しい。今でも一人負担の多い介護現場の人員配置基準をこれ以上、緩和しないで欲しい。介護労働と同じくらい膨大な事務作業を軽減してほしい。障害者が65歳を越えても、本人の選択が保証され、介護保険に移行させないように各窓口に指導して欲しい。というような内容。
それに対して大阪市は、二言目には「予算がない」からと、現行の介護事業所への単価切り下げ、規制緩和、シルバー人材派遣や家事代行の参入せざる追えない姿勢を見せていた。
65歳時の障害福祉サービスから介護保険に移行問題については、厚労省と同じように、障害者のサービスの選択が守られるべき、という認識だった。
なんとも言えない意見交換会だった。大阪市も厚労省と同様、介護事業所が潰れても構わない姿勢だったし、利用者への介護の質とか人権とか、介護労働者の労働環境には興味がない感じだった。
イライラしたが、こんなんで、諦めてはいけない。お前らいつか見とけよ!という気持ちを腹に大阪市を後にした。今後も、厚労省には、文章にて継続的に交渉を続け、大阪市にもしっかり要望書を叩きつけたいと思う。
要支援切りは、次に要介護1、2の介護保険切り捨てに繋がる。そうなると、介護難民はものすごい数になるし、介護事業所も相当数倒産に追い込まれる。そうなったときに誰が介護するのか?それは、家族か、隣のおっちゃん、おばちゃんか?家族や近所がいなければ、孤独死か。これが、安倍政権の「介護離職ゼロ」というのか?答えは、「詐欺師たちには、退陣してもらうしかない。」いつまでも、私たちが黙っていると思ってもらっては困る。踏まれても何度でも立ち上がるしかない!
介護保険改悪に関するわかりやすあ学習会と現場の要望をまとめる会をやります!
○2016年2月12日(金)18;30~
○西成区民センター会議室
○講師:日下部雅喜さん
日下部雅喜
1956年生。介護保険の窓口業務に従事する傍ら、一市民として「福祉・介護オンブズマン」の活動に参加。2001年9月「介護保険料に怒る一揆の会」結成に参加し、事務局長を務める。
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